「開発現場のストレスを減らすアサーティブ会話術」を読みました
- 出版社: 翔泳社 (2008/8/5)
- ISBN-13: 978-4798115269
- 著者: 吉田 珠江
アサーティブネス4つの約束
- ごまかさない
- 自分の気持ちをごまかさない。他人に伝えるのをごまかさない。
- 素直に伝える
- 相手に伝われりやすいように、へんなひねりや修飾をせずにシンプルで率直な表現で伝える。誰かにとっての素直、ということではない。
- 対等な目線で話す
- 相手が目上でも目下でも怖い人でも弱い人でも、相手を見下すことも、自分を見下すこともせず、対等なつもりで話す。
- 結果に責任をもつ
- 相手にとって都合のいい返答でなくても、あるいは言わないことを選択しても、すべて自分の責任の下に自由。
アサーティブネスの9つの権利
誰もがこれらの権利を持っている。
- 自分の感情と意見を持ち、それを表明する権利
- 自分の意見を主張しないでいる権利
- 尊重され、面目を保つ権利
- 自分の話に耳を傾けてもらう権利
- 自分の価値観を大切にする権利
- 「NO」と言う権利
- 欲しいものを望む権利
- 自分の時間や身体、所有物をどうするか決める権利
- 失敗する権利とそれに責任をもつ権利
何を伝えるかが整理されているか
- 「感情」と「要求」の違い
- 感情は私が感じたこと。要求はその結果相手に求めたいこと。
「どう伝えるのか」の5つのポイント
- 「一度にひとつだけ」〜その言葉の中の要求は何個?
- 「具体的に」〜結局「何」?と言われないために
- 「繰り返す」〜弁の立つ人に巻き込まれない!
- 「言葉と表情を一致させる」〜意外に難しい!?
- 「相手の立場も理解する」〜単なるワガママはダメ!
あなたは「アグレッシブ」「パッシブ」「アサーティブ」のどれ?
どれか一色ではない。どの要素も兼ね備えているし、状況にもよる。どの傾向がつよいか。どのようなときにその傾向がでるか。
「頼む」〜自分で抱え込まないための処方箋
相手が快く受け入れられるように。会話の頭にプラスの投げかけをするとよい。(おつかれさまです、いつもありがとう、など)
「断る」…言いにくい、でもどうやって?
できない、という事実を伝え、代案という要求をする。この形をアサーティブに。
「反対する」〜カラ回りしないためのコツ
相手の主張をまず受け止める(同意しなければならないわけではない。そういう考えなのですね、そこは理解しました、という表明でよい)。その上で、自分の意見を述べる。反射的に反論しない。
批判への対処
- 「ええっ」「ひゃー」「ガーン」!ココロの声を言葉に
- 相手の言葉はいったん受け止める
- 具体的な行動レベルに落とし込む
- 具体的にはどこがそうなのか確認するなど
- ポジティブに変換してみる
- 言い換え。ノロマ->慎重、など。
「批判」の種類を見極める
- 批判は必ずしも当たっていない
- 当たっていれば、改善点として受け入れる
- 当たっていなければ、(冷静に)否定する
- 心の急所に当たったのなら、そう伝えてやめてもらうなり、立ち去るなりしていい。
- 批判をバネに
- 批判に対する恐怖心を取り除く(コントロールできるようになろうとする)
怒りをどうするか
「怒り」を扱うときの5つのポイント
- 怒っている自分を受け止める
- 頭に上った血を下げる
- 深呼吸する
- 場を変える
- 第三者に話す(冷静に、また怒りの対象を罵るのはだめ)
- 短い言葉で怒りを伝える
- 早く解決する
- 怒りの原因に目を向ける(怒りの原因を解決する)
- すりかえやごまかしは解決でないのでこじれやすい。
「NO」を上手に伝える
- 「NO」は相手に失礼なのか?
- 失礼ではない。はっきり伝わらないNOのほうがずっと面倒で問題である
- 「いま」、NOと言えるか?
- NOといえることは大事なこと。いつでも言えるのが好ましい。だから今言っていい。
- 「『NO』=自分の能力がないと見なされる」の思い込み
- 「燃え尽き症候群」を防ぐための「NO」
- 言いたいNOを言わないでいるとストレス過多が恒常化し燃え尽きてしまう。NOといいたい心に素直になっていい。
- バーンアウトの予兆を知る
- からだは正直。こころも正直。
ラクに「NO」を伝えるためのコツ
- 「YES」か「NO」か、答えは今でなくともよい
- 「決めかねている」「(いついつ)でよいか?」と答えることもできる。
- キャパを超える仕事を断る
- 上司は「人間的に優れている」わけではない
- 言った後の引き際が肝心
- NOと言ったら立ち去っていい。へんに取り繕わなくていい。
「NO」の上級編!ダメ出しに挑戦
- 「ダメ」を「ダメ」と言うのは難しい!?
- 話し始める前に整理する
- ポイント2 相手の言い分を聞く
深刻な「NO」を伝える前の「準備」
- 伝えるタイミング、場所をセッティングする
- ポジティブな投げかけから入る
- 自分の感情をオープンに伝える
今後のよい関係性をつくるハッピーな「NO」の伝え方
- NOの目的をはっきりさせる
- 事実を簡潔に
- 対等な目線、立ち位地で
- 相手の言い分にも理解を示す
- 自分の関わり方をふりかえる
- NOといわなければならない状況を招いたプロセスをふりかえり学ぶ
- 営業からの要求を、断り切れない
「ほめる」ことで相手との関係性をよくする
- 「ほめ上手」のポイント
- 具体的にほめる
- 絶対的にほめる(比較でほめない)
- 「いえいえ…そんな…」はNG 「ほめ言葉」を受け止めよう
- ココロの動きを言葉にする
- 素直に同意する
おされがちな場面でのWin-Winに交渉する
- 交渉に臨むときの4つの心構え
- こちらの課題を明らかにする
- 今後どうしたいのかゴールを明確にする
- こちらの責任も認める
- 相手の言い分や背景にも理解を示す
- 交渉の6つのステップ
- 時と場所の設定
- ポジティブな投げかけで始める
- 事実を述べ共有する
- 感情を伝える
- 要望・要求は絞り込む
- 提案する
- 別の手段や方法、妥協案の提案という形にする手もある
- (結果を伝える(この要求を受け入れてもらえたのでこうなります))
ホームワーク〜手を動かしながら、アサーティブをおさらい〜
アサーティブ実践のための 8つのWORK
WORK1 アサーティブ度チェック!自分の傾向をつかもう
- 自分の感情を言葉にしている
- 人の話はじっくり聞いている
- 相手が誰であれ、接し方は基本的に変わらない
- 「こうしてほしい」と素直に言っている
- 望まないことには「NO」を言っている
- 人をほめることが多い
- ほめ言葉を素直に受け入れる
- 批判を受け止めている
- 考えが違う人に歩み寄ることができる
- 自分の中でいいところ、好きなところを5つ以上言える
WORK2 大切にしたい権利
9つの権利(前述)
WORK3 頼んでみよう!
言い出せなかった要求を書き出す。そのときの事実、感情、要求、結果を書き出す。
WORK4 批判を受け止める
自分にとってのイタい言葉と、それをポジティブに言い換えた表現を書き出す。
WORK5 NOを伝えよう
誰に、どんなNOを伝えたいか。アサーティブな表現は。
WORK6 怒りと向き合おう
怒りを発散する方法。プライベートで、ビジネスで。
WORK7 ほめる・ほめられるI
誰の、どこが。ほめるフレーズを考える
WORK8 ほめる・ほめられるII
自分をほめる。性格、容姿、行動のほめられる点をリストアップ
アサーティブネス第十の権利と明日への活かし方
第十の権利:アサーティブでない自分でいる権利
困った!開発現場のストレス解決Q&A
- ムリがたたり、ついに逆切れ!その後、ますます状況悪化
- 感情でなく事実を伝える
- 転職で意気揚揚!がやたら厳しい上司に自信喪失
- 自分はどうしたいのか
- 人間的には「いい上司」でも仕事は増えるばかり
- 主語は「私」で「シンプルに」伝える
- あちこちから突き上げられ私はリーダーの器でないのかも
- 「いい顔する」と「折り合いよくする」は違う
- 他人を優先しすぎてはいけない(相手のためにもならない)自分はどうしたいのか、相手はどうしたいのか。自分で判断し行動していい。
- 大声で怒鳴る上司に1日中イヤな気分
- 声が大きいことと、内容は別。もっともな指摘なら改善材料にするし当たらない指摘なら無視すればいい。
- アテにされるのは嬉しい、でも自分を犠牲にしているようで
- 相手の心に巻き込まれないように。
- 高い評価なハズ!昇進の取り残された会社がイヤに
- 結果と評価に境界線を引く。結果は変えられない。評価は自分自身でできる。
- 「遅い」「代わりにやる」と言われ自分は使えないのかと思いつめる
- 批判をポジティブに変換する訓練を
- 気分屋の先輩、キツい言葉が止まらず、まわりはげんなり
- Iメッセージで伝える
- 勤務中もネットや携帯問題行動がエスカレート
- 態度で不満を表さない。察しないことを不満に思わない
- 目の前の席でもメール直接話ができない雰囲気で…
- 直接言って欲しいなら、それをアサーティブに伝える
- 派遣女性の服装、露出が激しいと注意できない
- 具体的に、冷静に伝える
おわりに
試行錯誤を重ねながら少しずつ上手になっていけばいい。ずっと楽になるはず。アサーティブは単なる表現方法でなく、他人や社会との関わり方。身につけることで生き方をも変えることがある。