二項対立
以下の記事を読んでの感想です。ちょっと黒山本になっているので、そういうのはキライと思っている人には読まないことをお勧めします。
世界中の開発者が「アジャイルの意味」を振り返って見えてきた3つの問題とは?【デブサミ2020】 (1/2):CodeZine(コードジン)
『アジャイルの意味が歪んできた』『継続的な向上のために何をすればいいのか』『チームの健康状態に課題を抱えている』という3つの問題領域において、多くの声が寄せられました。
まず問題領域の設定があって、それに対して答える形式のサーベイだったんですかね。それとも、寄せられた意見を整理したら上記の問題が浮かび上がってきたんですかね。前者っぽく聞こえますけどね。だとしたら、その問題領域設定はどこから来たんですかねえ。
しかし実際には、多くの開発現場においてプロセス偏重の傾向が見られる。その背景には、「アジャイル vs. ウォーターフォール」という「プロセスの二項対立」の文脈でアジャイルをとらえる人が多い事情がある。しかし開発プロセスには本来「善と悪」は存在せず、適材適所で最適なものを選択して適用すればいい。決して「アジャイル以外のプロセスは悪」だととらえるべきではないとWong氏は指摘する。
「アジャイル vs. ウォーターフォール」という「プロセスの二項対立」の文脈でアジャイルをとらえる人が多いとプロセス偏重になるって、どういう力学ですか?こういうことを説明なしに、当然そうですよね、とくくっちゃうところが、アジャイル推しに見られるよくないところですよ。
ウォーターフォールは悪でアジャイルは善っていうのは、アジャイル推しのインフルエンサーが使ってきたポジショントークじゃないですか。スクラムの資格を売ってる団体は、スクラムはフルセットで導入しないと成功しない、と言い切りますよね。ウォーターフォールのデメリットを列挙した後にね。
プロセスなんて方法にすぎなくて本当はみんなそれほど関心がない(関心があるのはビジネスであり、成果を出すことだ)と思います。仕事が回りさえすればいいんですよ。多少ギクシャクしたところや腑に落ちないところがあっても、仕事なんだし利害関係を含んだ仕事なんだし、そんなことは多少はあるのが当たり前だよね、って普通は思いますわ。
アジャイルは、参加者の感性と能力を尊重し、対話ベースで世界をよりよくしていくものだ(それはできる)、ということを、これまでのインフルエンサーは上手に伝えられなかった(そういう行動変容を引き出せなかった)ってことでしょう。
僕にはこの記事だって、「正しいアジャイルと正しくないアジャイル」という二項対立を感じます。正しい二項対立と正しくない二項対立があるわけじゃない。二項対立に着目するのもいいですが、それよりも尊重、全員参加、対話、改善といったことの価値の重要さをもっとうまく伝えることに尽きるのでは、と思います。ツールベンダーのポジショントークがそこに行き着けるものなのかどうかは僕にはわかりません、