名古屋グランパスを見ていると、トヨタのことを信じられなくなる

僕はトヨタ生産方式カイゼンを学ぶところからアジャイル開発に入ったクチなので、トヨタ生産方式をかなり真に受けて信じています。ですが、名古屋グランパスを見ていると、その気持ちが大きく揺らぎます。

2010年のリーグ優勝をピークに以後中位力を遺憾なく発揮、今年はついにファーストステージ途中から17戦勝ちなしこのままではJ2降格という不調に陥り、小倉GM兼監督を事実上の解任、なんだかんだあって今に至ります。今日の時点では、降格圏は脱して自力残留の目があるところまで戻ったという状態です。

ですが、J2に落ちなければいい、ということでは断じてないです。

名古屋グランパスの初代社長は豊田章一郎氏、以後2015年に久米一正氏が就任するまでずっとトヨタの重役が社長を努めました。2015年にはグランパストヨタの子会社となり、今の代表取締役会長は豊田章男氏です。

金は出すけどクチは出さない?意味が分かりません。取引先部品会社に手弁当で社員を派遣してカイゼンの手助けと教育をするのがトヨタウェイなのでは?久米社長は選手の成果を数字で評価するシステムを作ったと著書で威張っていますが、それは年に一度の契約更改で使うためのものではなく、日々の活動のなかで、カイゼンのカタとして使うべきものなのでは?

外から来た久米氏が分ってないのはしかたないとして、トヨタから来てるお偉いさんは一体なにをしているのでしょうか。トヨタ式、カイゼンのカタを教えられないのはなぜ?別に毎試合勝たなくてもいいですよ。勝負なんだから、時の運ってこともあるし、強いチームいい選手にはかなわないところもあるでしょう。でも、チームは常に成長しなければおかしいし、なんか選手同士の意思疎通がどうだの、監督の意図が選手に伝わってないだの、そんな話が毎シーズン中日スポーツに載ったりしていますが、コミュニケーションや意思統一が非常に重要なサッカーというスポーツでそんな状態で「ラインが止められない」のはいったいどういうことなんですか?

こういったことを総合すると、トヨタ生産方式なんて、嘘ばっかり。トヨタは年に何兆円も利益を出すくらい成功をしていますけど、たまたまある特定のコンテキストにハマったときにだけうまく行く(あるいはただのケチ)としか説明がつきません。リーンだのなんだのなんてのは買いかぶりにすぎなかったと言わざるを得ません。

大野耐一氏が存命なら、なんというでしょうか?名古屋グランパスに関係しているトヨタからの出向者、兼務者はちょっと真面目にやってもらいたいと、真面目に思っています。