もっと気楽に生きよう

ど素人でも顧問。「部活がつらい」先生の体験談 (文春オンライン) - Yahoo!ニュース
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170307-00001606-bunshun-soci

まあ、なんというか、それは辛い体験をされましたね。大変でしたね。と思います。

それにしても、本記事の主張がよくわかりませんでした。
教員はただでさえ忙しいし、コア業務に集中してもらって、ボランタリーの部活指導なんかの負担は減らすべき、ということでいいですかね。
それは僕もその通りだと思いますが、違和感があるんです。

タイトルに端的に表れていると思うのですが、「ど素人でも顧問」の何が問題なんですか?

部活ってなんですか。部活顧問の責務と目的はなんですか。それはどのくらい大切なんですか。

なぜ部活顧問が勝てるチームを作れるコーチでなくてはならないのか。それは誰が決めたんですか。「だってそういうもんでしょう?」(逆質問?)、「そういう空気が。」そう答えが返ってきそうです。「そういう無言のプレッシャーがありまして抗うことができませんでした。」と。そして、そういうプレッシャーを自分自身も再生産して、それでやがて、そのプレッシャーに負けるわけです。

負ける人を、負けたことを責めているのではありませんよ。

なんとなく現状維持に加担して、やがて自分がついていけなくなってつぶれる。そして悲観する。日本人の黄金負けパターンです。この図式のおかしさに気づき、脱却するべきと思っています。

変え方は、とにかくみんなちょっと考えて、自分ができることをしてください、ということだけです。誰かが変えるべきだ、変えるべきやつが変えてないだから日本は/学校はだめなんだ、みたいな言説は意味がないので無視です。

自分が得意でない競技の部活顧問をすることになったなら、それはいい機会じゃないですか。勝てるチームを自分が作るなんていう、できないコミットメントをするのはやめましょう。なんとなくそうするものらしいから、とりあえずそうしようとしてみるのは、やめましょう。顧問が変わったんだからいい機会、改めて、部と顧問の目標を設定することをお勧めします。だいたいにおいて学校教育の目標からして、部の目標は試合で勝つなんて近視的なことではなく、生徒の成長です。部活を通じて成長すればいい。

どうやって部員達を成長させるか。部活動の成果を上げることで成長を得る方法ももちろんありですが、あなたはその技術的指導はできない(ど素人で時間もないから)。ならば、ここは王道でいきましょうよ。自分たちで自分たちを成長させることに取り組むことで成長してもらうのです。練習のメニューとかその実行は基本部員に任せましょう。より広い経験からより豊かな成長が望めるでしょう?顧問は監督だけしていればいいです。もともと先生なので、成長を見守りサポートするのは得意でしょう?親が黙ってない?ど素人がコーチの真似して結果がでなければ文句は言われるので一緒です。

部員たちに、自分たちはどうなりたいのか、そのためになにができるか、そのなかでどれをどのように行うことにするか、自分たちだけではできないことはどうすればいいか、そういうことを考え、議論し、仮決めし、仮決めの内容と実行の進捗を報告させ(るか、あるいは見ればわかるようにさせ)、監督はそれを見ていて、時折助言(指示よりも、気づきを促す質問が好ましい)してればいいと思います。それでまた現状認識と次の一歩を決めて実行する、を繰り返してもらう。自律的にマネージメントさせればいい。技術的なサポートが必要なら、その部分をどうするかも部員に考えさせ、合意の上で解消するように取り組めばいい。顧問が勉強して技術指導できるようになって指導するというのもひとつの方法ですが、それが唯一の方法ではないです。なんなら、解消できなくてもいいんですよ。解消できない問題があることを知るというのもひとつの勉強です。失敗もすべて経験であり学びであり成長の糧です。勝ち志向になるから成果が狭くなるのであって、なにやっても成果になるならそっちのほうがいいでしょう。

結果、部員が得る経験と学びは変わります。これまでの成果は:勝つために一生懸命になった(いろいろなことを切り捨てながら)という偏った経験と、大会等である程度勝ち上ったという実績(を得られるかもしれない)、ということくらいでした。そして、これからの成果は:練習や試合の経験や結果はもちろん、部員たちが自分マネージメントするという経験と学びと自信を得ます。こっちのほうが、よりよくないですか?

改めて顧問の先生、現状と比べて時間や気遣いが減るわけではないかもしれません。が、やりたくもないしできもしないことをやるよりかはずっと健全だし、そういう素直な形でそれぞれの人ができることをする、という世界を広げていくことに加担しているという満足があると思います。

日本人の、空気を大切にして変更を好まない気性は、別に悪くないと思います。しかしそれで自分が苦しむなら別です。ちょっと方向を変えて気楽に生きられるようにしましょうよ。

と思いました。私からは以上です。