在庫と心理的安全の関係。あるいは、バッチサイズが大きいとメンタルを蝕む

ウォーターフォール型プロジェクト管理の進め方は、バッチサイズ(まとめて処理する量)を最大化して、大量生産的な工程内に閉じた最適化によってアドバンスを生み出そうというものです。トレードオフとして、リードタイム(着手から完了までの期間)が長くなり、エンドツーエンドの評価が最終段階までできないため、問題の発覚が遅れる、気づいたときにはもう時間的余裕がない、というリスクがあります。このリスクは工程毎のチェックゲートで「やるべきことをやっているか」を検証することで低減するのが基本ですが、この考え方には誤謬があります。人間系には不確実性がつきものですし、一品もののプロジェクトには平均的な想定とのズレが必ずあります。プロジェクトの経験がいくらあっても、それらが収束するほど大きな母数ではないので、「やるべきことをやっているかを検証する」とは、さして効果が期待できないが形式的なことを精神論で行う、ということにしかなりません。それでリスクが十分に減少するわけではありません。
そのような乱暴な賭けプロジェクトにコミットすることは、普通の感受性の持ち主であればとても辛いことです。メンタルの不調に陥る人が少なくないのも当然の帰結だと思います。
みなさんの組織、チームのマネジメント力、コミュニケーション力、相互サポート力は、その乱暴さに打ち勝てるほど強いですか?
僕の考えとしては、ウォーターフォールはブラックなのでやめたほうがいい。ということです。