ESD21 TPS/Agile組み込み開発セミナー

聴講してきました。ESD21 TPS/Agile組み込み開発セミナー

「組込みシステム開発へのアジャイルの適用!」

テスト駆動開発による組み込みプログラミング」の監訳者蛸島さんから、車載機器開発をアジャイルに行った事例紹介を伺いました。
カーエレクトロニクスの複雑化への対策としてアジャイルスクラム)を導入されたとのこと。一般的にアジャイル開発は、開発要件が柔らかい案件で、顧客と開発が共同して開発内容を探索・具体化していくような場合に用いられることが多いです。それに対して蛸島さんの事例では、車載ソフト開発では比較的要件のブレは小さいそうですが、それでも仕様変更は皆無というわけではなくその対応は大変だということ、またハードソフトが並行開発になり結合試験(とそこで発生する見つかった不具合対応)の期間が短いという課題に対する対策としてアジャイル開発を導入したとのこと。ハードソフトの結合試験は工程の終わりに一定期間しか取れないとはいえ、ハードも早い段階から評価ボード等を用いた試作品を作っており、ソフトが段階的提供されることの意義は十分にあったとのことでした。
スクラムガイドからの変更点としては、スプリントレビューは実施しない、POを置かずソフト・ハード・制御の合議制で進めた、SMを置かずリーダー、サブリーダーがその役目を兼任するという形にしたとのこと。
単体テストを中心に自動化を行い品質確保を行ったとのこと。テストを自動化するにあたり、網羅的な単体テストから手掛けたとのこと。テストの自動化は着手しやすいので、それを先に行って、後からプロセスをアジャイルにするのがよいかもしれない、とのこと。「テストの自動化をしない余裕はない」。テスト駆動開発にも言及があり、後からテスト型では欠陥を許容してしまうのでよくない(TPS的!)とのことでした。

『開発文書による組込みソフトウェア開発の見える化

名古屋大学 附属組込みシステム研究センターの山本様から、ソフトウェア開発における開発文書の重要性、どのように用いていくかという提言を伺いました。
エンジニアリングはやらされていると効果がない。プロセスに対する工学的な理解が重要。トップダウンを疑い現場の感覚を活かして改善していくことが重要というお話しが印象的でした。

「組込みソフトウェアにおけるAgile開発〜 派生開発で実践するTPS」

デンソー技研センターの古畑様から、派生開発にフォーカスした開発手法XDDPの紹介を伺いました。組み込み開発の多くは流用開発だということです。流用改造が主になる開発では新規開発とはプロセスが異なるはず、という問題意識が出発点で、影響調査や仕様整合性確認を重要視したドキュメントの作成などの取り組みを行うものだということでした。少し調べてみたいと思いました。