オブジェクト倶楽部クリスマスイベント2007に行ってきました。

オブジェクト倶楽部クリスマスイベント2007に行ってきました。

アジャイル開発とトヨタ生産方式、そしてオブジェクト指向/平鍋さん

プロジェクトファシリテーションについて話されるときに平鍋さんはその動機として、オブジェクト指向が諸問題を解決するかと考えたがどうもそれだけでは駄目で、そして方法論に着目し、さらにそして人に着目するに至った、と説明されています。これには僕も同じことを感じています。
では、オブジェクト指向はソフトウェア開発の現場の問題解決に役立たないのでしょうか。いいえ、まさかそんなことはないと思います。オブジェクト指向が技術であり実践項目であると捉えたとき、その目的を見失わないこと、ソフトウェアは人が作っているという事実を見失わないこと。それによって、オブジェクト指向技術が持っているポテンシャルを引き出せれば、現場の問題解決を図ることができるという話だと僕は理解しています。パターンやオブジェクト指向原則としてまとめられたよい設計のための知識体系に類するものは他に見当たらないことひとつとっても、オブジェクト指向は価値あるものだと思います。
オブジェクト指向は技術道具であると同時に、複雑性に対峙するための基本的な考え方です。事実組織パターンなどに敷衍されているではありませんか。詳細でありながら抽象。自己相似性。これがオブジェクト指向が有効であることの証左だと僕は思っています。

などと思いながら聞きました。変更容易性とテスト容易性については、もっと話しをしたいです。自分が話せることがあるとしたらなにかなあ。このへんは来年も引き続き考えます。

メモ:関心事の分離

形式仕様記述/酒匂さん

形式仕様記述!失礼ながら、とても気になっているのだけど調べてみてもなんだかよくわからないモノの最右翼が来ましたよ。
正直なところ、残念なことに具体的な例が割愛されたこともあり(講演のスライドで具体例を見せられても理解できるものではない気もしますが)、やはりヨクワカラナイ感が残っています。でも、形式仕様記述を用いる動機が、書いたこと考えたことを無駄にしない、コミュニケーションロスを防ぐための方策であり、本当に価値あることを考えることに注力する、そのためのものだ、ということを強調して語って頂いたのが印象に残りました。今すぐ試すべき(試せる)技術ということですので、トライしてみます。
あとメイヤーの「オブジェクト指向入門第二版」もいいかげん観念して買います。
以前は全然そう考えたことがなかった(考えられなかった)のですが、システム/ソフトウェアは状態を持ったひとつのエンティティと考えることができて、その状態遷移に着目することができます。以前よりもちょっと組込みに近いプロジェクトに参加するようになってそう思うようになりました。遷移を引き起こすトリガーの表現としてのメソッド、あるいは遷移の記録としてのログ、契約の監査としてのテスト、いろいろなイメージが湧いてきます。

メモ:関数型言語と形式記述

OO厨厨トレイン/オブジェクトの広場さん

セッション概要説明資料にある、「技術者の世代の変化やコミュニティを支えるメディアの移り変わり(NetNews/MLからWiki/Blogへ)により、先人達の議論や知見がうまく継承されていない状況です」、これに尽きます。なにかあって検索エンジンに相談して、オブジェクトの広場やオブジェクト倶楽部やジャバハウスのメーリングリストアーカイブに議論のスレッドを発見して、ひとしきり読み耽って、最初の自分の疑問なり考えをはるかに越えたディープな内容に感心半分疲労感半分という経験をしたことのある人も少なくないでしょう。僕はあまり若くないですが目が覚めるのが遅かったのでML時代には乗り遅れたくちで、そういうことが何度もありました。

とはいえ、それらメーリングリストを今から全部読むとかできませんし。

アジャイルソフトウェア開発の奥義」や「パターン指向リファクタリング」にみられるような、アジャイル視点からのオブジェクト指向の再発見の動きがちょっと前にあって、これ重要なできごとだと思っているんですけど、オレオレ再発見上等ってことで、やっていきたいです。

メモ:責務駆動開発からドメイン駆動開発という流れ

懇親会

プロジェクトファシリテーションのユーザーコミュニティであるPFPの主催による懇親会「宴」にも参加しました。僕PFP東海の代表ってことになりましたので、なにかアイデアある人連絡ください。一緒にやりましょう。

その後も夜遅くまでつきあってくださってみなさん、ありがとうございました。ひとつだけ挙げるのもなんなんですけど、伊藤さんとオブジェクト指向の原則について話せたのは最高楽しかったです。コンフリクトが責務超過のパトランプ、は慧眼だと思います。