ボットとAIの世界

近い将来、Facebook2chYahoo!ニュースの掲示板、Twitterなどには、botが書き込みを行なっているだろう。botは賑やかしやちょっとしたジョークとして使われ始め、単純で機械的な発言は時に場違いであるがゆえにおかしみを醸しだす。botはやがて、オーナーの過去の書き込みからオーナーの嗜好や趣味、主義主張を読み取り、それをいかにもそれらしく偽装する人工知能となる。
botはやがて攻撃的な主張やコメントを覚える。反対意見を完膚なきまでに叩きのめす。ありとあらゆる知識と表現が用いられる。だが相手もすでにbotである。ありとあらゆる知識と表現で反論する。まもなく千日手状態になり、収束したライフゲームのように点滅を繰り返す。ただスレッドだけが消費される。
Pixivには自動生成された二次創作が滝のように投稿されているが、生身の人間でそれをチェックできるものはいない。Instagramに投稿されている画像が、人間のユーザーによるものなのか生成されたイメージなのかを知る者はない。ただ、無数の画像が投稿され、画像それぞれに無数のコメントが絶え間なく添えられる。コメント削除依頼やアカウントの通告もbotが行なう。アカウントの生成もbotが行なっている。自分の動かしているbotが生成したアカウントがどれか把握している人間は初めからいない。初めに自分がbotに与えたアカウント名ももはや定かではない。
タイムラインの流速はもはや人間の目で追いつけるものではなく、ただbot同士の言い争いが続く。botは疲れることがない。まとめサイトが自動生成されるも、あまりの量に人間は誰も読まない。人間の発言がどこかで行なわれると、あっという間にbotが群がってきてタイムラインを埋め尽くす。生身の人間の誰もインターネットに発言することはなくなった。ただ、botだけがbotの設定をするためにwebにアクセスしていた。そんな世界。